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河川や海岸の岸を流水や波浪から守るために設けられる"護岸"。近年の水害被害を受けて、既設の護岸を切断して一部を撤去したり、新しい護岸に造り替えたりする工事が増えています。
この記事では、工事担当者に向けて、護岸の切断工事が必要になるケース、主な工法など、護岸工事について解説します。
国土交通省の河川砂防技術基準では、河川の護岸は「のり覆工」「基礎工」「根固工」「天端工・天端保護工」「すり付け工」で構成されるとされています。どの部位を、どこまで切断・撤去するかで工法も仮設も変わります。
| 部位 | 概要 | 切断・撤去工事の主な内容 |
|---|---|---|
| のり覆工 | のり面を覆い、流水や波浪による侵食を防ぐ部分(ブロック張り・コンクリート張りなど) | 改修範囲の縁切り、ブロック・張りコンクリートの分割撤去 |
| 基礎工 | のり覆工を支え、洗掘から守る部分 | 基礎コンクリートの分割切断、新設基礎との取り合い部の切断 |
| 根固工 | 護岸前面の河床・海底の洗掘を防ぐ部分(コンクリートブロックなど) | 支障となるブロックの小割り・撤去 |
| 天端工・胸壁(パラペット) | 護岸の上部を保護する部分。海岸・港湾護岸では越波を防ぐ胸壁が設けられることが多い | 胸壁の撤去・切下げ、かさ上げ前の打継ぎ面づくり、階段や開口部の新設 |
また護岸は、設置場所によって河川護岸・海岸護岸・港湾の護岸に分かれ、それぞれ管理者と根拠となる法律が異なります。誰が管理する護岸なのかを最初に確認しておくと、協議・許可の段取りがスムーズに進みます。
護岸の切断工事は、施設の更新だけでなく、周辺の整備計画にあわせても発生します。
背景には施設の高齢化があります。建設後50年以上経過する施設の割合は、河川管理施設で2023年3月時点の約22%から2040年3月には約65%へ、港湾施設(岸壁等)で約27%から約68%へ増える見込みです。護岸の更新にともなう切断・撤去工事は、今後さらに増えていくと考えられます。
護岸は長く連続した構造物で、水際や水中での作業になる場合も少なくありません。部位や厚み、作業条件に応じて、次の工法を組み合わせます。
ダイヤモンドビーズを固着したワイヤーを対象物に巻き付け、高速で走行させて切断する工法です。切断できる厚みの制限が少なく、水中での切断にも対応できるため、厚い基礎コンクリートや胸壁の分割撤去で中心となる工法です。
愛知県内でも、衣浦港の防波堤工事でワイヤーソーを用いて鉄筋コンクリート製の防波堤を切断する作業が行われており、ワイヤー切断時の飛散に備えた立入防止の仕切りや、海中への転落を防ぐ柵の設置といった安全対策がとられています。
切断面に沿ってレールを固定し、ダイヤモンドブレードを走行させて切断する工法です。切断線を精度よく管理できるため、残す護岸と撤去する部分の境界を切り離す「縁切り」や、胸壁を所定の高さで切り下げる作業に向いています。
平らな面の上を走行するカッターで切断する工法です。護岸の天端や管理用通路、張りコンクリートなど、水平に近い面を一定の深さで直線的に切断する場面で用いられます。
円筒状のダイヤモンドビットで孔をあける工法です。ワイヤーソーを通す引込み孔や、吊上げ用の孔の削孔に欠かせないほか、排水管や水抜き孔を通すための開口にも用いられます。
超高圧水でコンクリートのみをはつり取る工法です。鉄筋を傷めずに除去できるため、胸壁のかさ上げや部分補修で、新旧コンクリートの打継ぎ面をつくる工程に用いられます。
河川内の工事は、出水期を避けた非出水期に施工時期が限られることが多く、仮締切や水替えを前提とした計画になります。護岸は堤防を守る構造物でもあるため、撤去している間に増水があっても堤防が侵食されないよう、仮護岸や大型土のうなどの仮設を検討しておく必要があります。撤去範囲を一度に広げず、区間を分けて撤去と復旧を進めるのが基本です。
海岸・港湾の護岸では、潮位によって作業できる時間帯が変わり、波浪や風の影響で作業中止になる日も見込んでおく必要があります。水中部の切断では潜水作業や台船を用いた作業になる場合があり、港内では船舶の航行への配慮も欠かせません。また護岸を切り欠くと背後の埋立土が吸い出されるおそれがあるため、切断前に土留めや吸出し防止の措置を計画しておきましょう。
護岸の切断工事は、切断作業そのものより、事前の調査・協議・仮設計画が工期を左右します。
水際の現場では、大型クレーンを据えられる位置が限られることも少なくありません。「吊り出せる重量」と「搬出経路」から逆算して分割数を決めることが計画の出発点になります。
河川区域内で工作物を新築・改築・除却する場合は、河川法第26条第1項に基づく河川管理者の許可が必要です。掘削や盛土など土地の形状を変更する行為は同法第27条第1項、河川保全区域内での行為は同法第55条第1項の許可対象です。
海岸保全区域内で、海岸保全施設以外の施設・工作物を新設・改築する行為や、土地の掘削・盛土などを行う場合は、海岸法第8条第1項に基づく海岸管理者の許可が必要です。愛知県では海岸ごとに管轄が分かれており、農林水産事務所が申請窓口となる海岸もあります。工事を行う海岸の管理者を事前に確認しましょう。
港湾区域内での水域や公共空地の占用、外かく施設などの建設・改良、港湾の利用や保全に支障を与えるおそれのある行為は、港湾法第37条に基づく港湾管理者の許可が必要です。港湾管理者は港によって異なるため、対象の港の管理者に確認しましょう。
指定地域内で特定建設作業を行う場合は、市町村長への届出が必要です。名古屋市では市の条例により「コンクリートカッターを使用する作業(1日の移動距離が50mを超える場合を除く)」や「鉄筋コンクリート造などの構造物を破壊する作業」も特定建設作業に含まれます。届出は作業開始の中7日前までに、現場を管轄する区の公害対策課へ提出します。
一定規模以上の工事は分別解体と再資源化が義務付けられ、発注者による届出が必要です。護岸のような建築物以外の工作物に関する工事(土木工事等)は、請負代金500万円以上が対象です。
湿式のカッター工事では、冷却水とコンクリートの切削粉が混ざった汚泥水(スラッジ)が発生します。スラッジはアルカリ性が強く、そのまま河川や海へ流れ出ると水質に影響を与えるおそれがあります。護岸の工事は水域に面しているため、発生したスラッジを水域に落とさずに回収し、適切に処理する体制が特に重要です。
スラッジの性質や処理方法については、カッター工事における汚泥とはで詳しく解説しています。
護岸の切断工事の費用は、切断延長だけでは決まりません。主な要素は次のとおりです。
見積もりを比較する際は、切断費だけでなく仮設費、揚重費、濁水・スラッジ処理費、処分費が含まれているかを確認しましょう。「一式」表記のみの場合は、数量の前提条件と、増水・荒天による中断や想定外の配筋が見つかった場合に追加費用が発生する範囲もあわせて確認しておくと安心です。
護岸の切断工事は、切断技術に加えて、水際の仮設計画や関係機関との協議の経験が求められます。次の点を確認しましょう。
問い合わせの前に、護岸の構造図や断面図、撤去範囲と残置部、施工可能な時期、クレーンの設置可否、搬出経路、後工程の予定を整理しておくと、現地調査や見積もりがスムーズに進みます。
護岸の切断工事は、老朽化した護岸の更新や河川改修、海岸・港湾施設のかさ上げ、開口部の新設などにともなって発生します。ワイヤーソーイングを中心としたカッター工法なら、残す護岸や背後地への影響を抑えながら、必要な範囲だけを切り離して撤去できます。河川護岸では施工時期と堤防の安全確保が、海岸・港湾護岸では潮位・波浪と背後地への影響が、工程と費用を左右します。
計画どおりに進めるには、現地調査・工法選定・仮設計画・関係機関との協議、そして濁水・スラッジの処理方法を早い段階で固めることが欠かせません。 護岸の切断・撤去を検討している場合は、切断・穿孔工事を専門とするカッター工事会社に相談しましょう。
引用元:東海カッター
https://www.tokai-cutter.co.jp/strong/
切断サイズ80㎝のパワフルなフラットソーイングが、広範囲のコンクリート切断や道路工事において、工期短縮に貢献。計画から施工、工事後の廃棄物処理まで自社内でスピーディに対応できる。
引用元:ダイヤエクシード
https://www.diaexceed.co.jp/
大型・水中・乾式などのワイヤーソー技術を用いて、既設コンクリート構造物の切断・解体を行う。使用中の建物でも、利用を妨げないよう古いスラブ・壁の切断切断工事に対応。
引用元:ウォールカッティング工業
https://wallcutting.net/
病院や店舗など排気ガスを嫌う場所に適切な電動フラットソーイング工法が可能。石油、ガス、化学工場においてもスパレスターの装備の必要なし。