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橋梁や高架道路の維持管理では、老朽化した床版(しょうばん)を撤去し、新しい床版に取り替える「床版取替」が増えています。床版撤去は単に壊す作業ではなく、主桁や橋台など残す部材を傷めずに、必要な範囲だけを正確に切り離す作業です。
また、供用中の道路では夜間や短時間の規制内で作業を終える必要があるケースも少なくありません。そのため床版撤去では、切断工法の選定と搬出計画を含めた事前検討が、工期と安全性を大きく左右します。
この記事では、工事担当者に向けて、床版撤去が必要になるケース、主な撤去工法、工事の流れ、費用を左右する条件、法令上の確認事項、業者選びのポイントを解説します。
床版とは、橋梁において車両や歩行者の荷重を直接受け止め、その荷重を主桁へ伝える板状の部材です。路面のすぐ下にあるため、輪荷重の繰り返しや雨水、凍結防止剤に含まれる塩分の影響を最も受けやすい部位でもあります。
床版には複数の種類があり、撤去の難易度や適した切断工法も変わります。
| 床版の種類 | 概要 | 撤去時のポイント |
|---|---|---|
| RC床版 | 鉄筋コンクリート製の床版。既設橋で採用例が多い | 配筋量が多く、切断延長が長くなりやすい |
| PC床版・プレキャストPC床版 | プレストレスを導入した床版。ひび割れが生じにくく耐久性に優れる | 取替後の新設床版として採用されることが多い |
| 鋼床版 | 鋼板と縦リブなどで構成された床版。軽量で長支間に向く | ガス切断など、コンクリートとは異なる撤去手順になる |
| 合成床版 | 鋼板とコンクリートを一体化させた床版。床版厚を薄くできる | 鋼材とコンクリートの縁切りに配慮が必要 |
床版撤去は、劣化した床版の取替だけでなく、構造変更や橋梁自体の撤去に伴っても行われます。
高速道路では、劣化した床版の取替を計画的に進めるリニューアル(更新)事業が各社で進められており、床版取替はその中心的な工種のひとつとなっています。発注者側では、撤去に伴う交通規制の期間をいかに短縮するかが大きな課題です。
床版撤去では、残す部材への影響、作業可能時間、騒音・振動の制約に応じて工法を選定します。ひとつの工法だけで完結することは少なく、複数の工法を組み合わせるのが一般的です。
ダイヤモンドビーズを数珠状に固着したワイヤーを対象物に巻き付け、高速で回転させて切断する工法です。切断時に振動が発生せず切削音も小さいうえ、プーリー(滑車)の配置やワイヤー長を変えることで多様な切断ができます。
厚みのある床版の切断や、主桁と床版の接合部を切り離す作業など、床版撤去の中心的な工法として用いられます。
レールに沿ってダイヤモンドブレードを走行させ、壁面や斜面など通常のカッターが使いにくい面を切断する工法です。切断位置を管理しやすいため、残す部材との境界を精度よく切り離す「縁切り」に適しています。
ダイヤモンドブレードを装備した自走式カッターで、床版上面を走行しながら水平方向に切断する工法です。床版を搬出可能な大きさのブロックへ分割する一次切断や、舗装の切断に用いられます。作業スピードが速く、直線的な切断を数多く行う場面に向いています。
高圧水でコンクリートのみをはつり取る工法です。鉄筋や鋼桁を傷めずにコンクリートを除去できる点が特長で、合成桁の床版撤去では、鋼桁を傷めないよう床版を数十mm残して切断し、桁上に残ったコンクリートをウォータージェットで除去する手順が採られてきました。
周辺への影響が小さい現場では、油圧ブレーカーや圧砕機で床版を取り壊す方法もとられます。ただし騒音・振動・飛散が大きいため、供用中の道路上や近接構造物がある現場では制約を受けます。
近年は工期短縮を目的に、ユニット型のワイヤーソー装置で床版と鋼桁の接合部を床版上から水平切断し、桁間床版の先行撤去という作業ステップ自体を省略する技術など、床版撤去に特化した工法開発も進んでいます。
床版撤去は、切断作業そのものよりも事前の計画と段取りが工期を左右します。一般的には次のような流れで進みます。
吊り出したブロックをクレーン横で二次切断してから搬出するなど、搬出先や積込みスペースの条件に応じて切断と搬出の順序を組み替えることもあります。「どの大きさまで分割すれば運び出せるか」を先に決めることが、切断計画の出発点になります。
床版撤去の費用は、面積だけで決まるものではありません。見積もりに影響する主な要素を把握しておくと、比較検討がしやすくなります。
見積もりを比較する際は、切断費だけでなく仮設費、交通規制費、搬出費、処分費、スラッジ処理費が含まれているかを確認しましょう。「一式」表記のみの場合は、数量の前提条件と、追加費用が発生するケースも合わせて確認しておくと安心です。
費用の考え方については、コンクリートカッター工事の費用相場のページでも解説しています。
建設リサイクル法では、一定規模以上の工事について分別解体と再資源化が義務付けられ、発注者による届出が必要になります。橋梁のような建築物以外の工作物に関する工事(土木工事等)は、請負代金の額が500万円以上の場合が対象です。
解体・改修工事では、石綿含有建材の使用有無について事前調査を行い、結果を報告する必要があります。床版本体だけでなく、舗装下のシートや伸縮装置周辺の充填材、添架物の保温材などが調査対象になる場合があります。
湿式のカッター工事では、冷却水とコンクリート微粉が混ざったスラッジが発生します。河川や側溝への流出を防ぐため、回収方法と処理先を事前に決めておく必要があります。市街地や近接構造物がある現場では、騒音・振動対策も併せて計画しましょう。
詳しくはカッター工事における汚泥とは、カッター工事の騒音対策のページをご覧ください。
床版撤去をカッター工事会社に相談すると、現場条件に合わせた切断計画を立てやすくなります。
橋梁全体のカッター工事については橋梁のカッター工事、高速道路での施工については高速道路のカッター工事のページでも紹介しています。
床版撤去は、切断精度と工程管理の両方が求められる工事です。価格だけでなく、以下の点を確認しましょう。
問い合わせ前に、床版の種類と厚み、撤去範囲、図面や写真、作業可能時間帯、クレーンの設置可否、搬出経路、後工程の予定を整理しておくと、現地調査や見積もりがスムーズに進みます。
床版撤去は、床版の種類や主桁との取り合い、作業可能時間によって適した工法が変わります。ワイヤーソーやウォールソーなどのカッター工法を用いれば、残す部材を傷めずに必要な範囲だけを切り離し、搬出可能な大きさへ分割できます。
床版撤去を安全かつ短工期で進めるには、現地調査・工法選定・搬出計画・法令確認を早い段階で固めることが欠かせません。 橋梁の床版取替や部分撤去を検討している場合は、切断・穿孔工事を専門とするカッター工事会社に相談しましょう。
引用元:東海カッター
https://www.tokai-cutter.co.jp/strong/
切断サイズ80㎝のパワフルなフラットソーイングが、広範囲のコンクリート切断や道路工事において、工期短縮に貢献。計画から施工、工事後の廃棄物処理まで自社内でスピーディに対応できる。
引用元:ダイヤエクシード
https://www.diaexceed.co.jp/
大型・水中・乾式などのワイヤーソー技術を用いて、既設コンクリート構造物の切断・解体を行う。使用中の建物でも、利用を妨げないよう古いスラブ・壁の切断切断工事に対応。
引用元:ウォールカッティング工業
https://wallcutting.net/
病院や店舗など排気ガスを嫌う場所に適切な電動フラットソーイング工法が可能。石油、ガス、化学工場においてもスパレスターの装備の必要なし。