公開日: |更新日:

堰堤の撤去工事・カッター工事

堰堤(えんてい)は、渓流や河川を横断して設けられるコンクリート構造物の総称です。土砂の流出を抑える砂防堰堤や治山堰堤のほか、農業用水を取水するための固定堰など、目的の異なるさまざまな施設が含まれます。

近年は、既設の砂防堰堤を透過型へ改良する「スリット化」や、老朽化した堰の改築・撤去にともない、堤体の一部だけを切り取る工事が増えています。堰堤の切断工事は、残す躯体を傷めずに必要な範囲だけを切り離す作業であり、河川内という制約の多い現場で行われる点が大きな特徴です

この記事では、工事担当者に向けて、堰堤の切断工事が必要になるケース、主な工法、工事の流れ、費用を左右する条件、必要な許可、業者選びのポイントを解説します。

堰堤とは?切断工事の対象となる主な施設

ひと口に堰堤といっても、設置目的や管理者が異なり、切断工事で求められる内容も変わります。代表的な施設を整理しました。

施設の種類 概要 切断工事の主な内容
砂防堰堤(不透過型) 渓流を横断して設け、土石流や土砂の流出を抑える構造物 透過型へ改良するスリット化、切下げ、堤体の撤去
砂防堰堤(透過型) 鋼製スリットなどを備え、平常時は土砂を流下させる構造物 鋼製部材の取替に伴うコンクリート部の開口・はつり
治山堰堤 山地の荒廃を防ぐ目的で渓流に設けられる構造物 老朽化に伴う部分撤去、開口部の新設
取水堰・頭首工 河川を堰き止めて水位を上げ、農業用水などを取水する施設 固定堰の改築・撤去、ゲート据付部の開口、魚道の新設
床固工・落差工 河床の洗掘を防ぎ、河道を安定させる横断構造物 魚道設置のための開口、天端の切下げ

堰堤の切断工事が必要になる主なケース

堰堤の切断工事は、施設の更新や機能改良にあわせて発生します。代表的なケースは次のとおりです。

なかでも件数が伸びているのが、既設砂防堰堤のスリット化です。国土交通省の砂防事務所では、スリット化によって危険な土石流(巨大な岩や流木)を食い止めるという「本来の防災の役割」はしっかりキープしたまま、川の自然や生き物の行き来を遮ってしまうという「環境面の問題」を解決する、画期的なリフォームとして注目されています。

堰堤の切断に用いられる主なカッター工法

堰堤は堤体が厚く、無筋コンクリートや大径の玉石を含む場合もあります。加えて、渓流内で足場や電源が限られる現場が多いため、工法の選定には現場条件の把握が欠かせません。実際の施工では、ひとつの工法だけで完結することは少なく、複数の工法を組み合わせるのが一般的です。

ワイヤーソーイング工法

ダイヤモンドビーズを数珠状に固着したワイヤーを対象物に巻き付け、高速で走行させて切断する工法です。切断できる厚みに制限が少なく、乾式・湿式のほか水中切断にも対応できます。

日本コンクリート切断穿孔業協会も、ワイヤーソーイング工法の施工対象としてダム堤体のスリット作成工事や橋脚の水中切断を挙げており、堰堤のスリット化や堤体の分割撤去における中心的な工法といえます。

ウォールソーイング工法

切断面に沿ってレールを固定し、ダイヤモンドブレードを走行させて切断する工法です。切断線を管理しやすく、残す部材との境界を精度よく切り離す「縁切り」に適しています。堤体側面や袖部など、比較的厚みが小さい範囲の切断で用いられます。

コアドリリング工法(コア抜き)

円筒状のダイヤモンドビットで孔をあける工法です。ワイヤーソーを通すための引込み孔(挿入孔)の削孔に不可欠なほか、連続して穿孔することで縁を切り、厚い壁の部分撤去を行うこともできます。水中穿孔にも対応可能です。

ウォータージェット工法

超高圧水でコンクリートのみをはつり取る工法です。鉄筋を傷めずにコンクリートを除去できるため、切断後の残存部の整形や、新設する鋼製部材との接合面をつくる工程で用いられます。

ブレーカー・大型圧砕機による取壊し

周辺への影響が小さい現場では、油圧ブレーカーや圧砕機による取壊しが選ばれることもあります。ただし騒音・振動・飛散が大きく、残す躯体にひび割れを生じさせるおそれがあるため、スリット化のように残置部の健全性が求められる工事では、カッター工法による縁切りと組み合わせるのが基本です。

堰堤の切断工事の一般的な流れ

堰堤の切断工事は、切断作業そのものより、事前の調査・許可手続き・仮設計画が工期を左右します。一般的には次のような流れで進みます。

  1. 現地調査・図面確認(堤体の形状・厚み、配筋の有無、コンクリート強度、堆砂状況、水深)
  2. 切断範囲と残置部の確定、切断割付・分割計画の作成
  3. 河川法・砂防法などの許可手続き、河川管理者・水利権者・漁業関係者との協議
  4. 施工時期の設定(非出水期、かんがい期を避けた期間など)
  5. 仮締切・水替え、進入路や重機ヤードの確保
  6. 堆積土砂の除去(除石)、付属物・添架物の撤去
  7. ワイヤー引込み孔の削孔と一次切断(縦方向・横方向)
  8. クレーンやバックホウによるブロックの吊出し、必要に応じた二次切断
  9. 残存部の整形、鋼製スリットなど新設部材の設置(改良工事の場合)
  10. 濁水・スラッジの処理、廃材の分別搬出、河床・護岸の復旧

山間部の渓流では、大型クレーンを設置できないケースも珍しくありません。「搬出できるブロックの大きさ」と「使用できる重機の能力」から逆算して切断割付を決めることが、計画づくりの出発点になります。

堰堤の切断工事で確認しておきたい法令・許可

河川法に基づく許可

河川区域内で工作物を新築・改築・除却する場合は、河川法第26条第1項に基づく河川管理者の許可が必要です。あわせて、掘削や盛土など土地の形状を変更する行為は同法第27条第1項、河川保全区域内での行為は同法第55条第1項の許可対象となります。堰堤の切断・撤去は工作物の改築または除却にあたるため、計画初期の段階で河川管理者との協議が欠かせません。

砂防指定地内における行為の許可

砂防堰堤の多くは砂防指定地内にあります。砂防指定地では、砂防法および各都道府県の条例により、土地の掘削・盛土・切土など土地の形状を変更する行為や、砂防設備に工作物を設けて継続使用する行為などが許可制とされています。愛知県の場合、管轄の県建設事務所維持管理課が申請窓口です。

建設リサイクル法の届出

建設リサイクル法では、一定規模以上の工事について分別解体と再資源化が義務付けられ、発注者による届出が必要です。堰堤のような建築物以外の工作物に関する工事(土木工事等)は、請負代金の額が500万円以上の場合が対象となります。

濁水・スラッジと騒音への対応

湿式のカッター工事では、冷却水とコンクリート微粉が混ざったスラッジが発生します。河川内での作業となる堰堤工事では、濁水をそのまま流下させない回収方法と処理先を、施工計画の段階で決めておく必要があります。渓流沿いに人家がある場合は、騒音・振動対策や作業時間帯の調整も検討しましょう。

堰堤の切断工事の費用を左右する要素

堰堤の切断工事の費用は、切断面積だけで決まるものではありません。見積もりに影響する主な要素は次のとおりです。

見積もりを比較する際は、切断費だけでなく仮設費、仮締切・水替え費、搬出費、処分費、スラッジ処理費が含まれているかを確認しましょう。「一式」表記のみの場合は、数量の前提条件と、増水などで追加費用が発生するケースをあわせて確認しておくと安心です。

堰堤の切断工事を依頼する会社の選び方

堰堤の切断工事は、施工実績が限られる特殊な工事です。価格だけで判断せず、次の点を確認しましょう。

問い合わせの前に、堰堤の種類と規模、堤体の図面や写真、切断したい範囲、施工可能な時期、進入路と重機の設置可否、搬出経路、後工程の予定を整理しておくと、現地調査や見積もりがスムーズに進みます。

まとめ

堰堤の切断工事は、砂防堰堤のスリット化や魚道の新設、取水堰の改築・撤去など、施設の機能を改良・更新する場面で発生します。ワイヤーソーイング工法を中心としたカッター工法を用いれば、残す躯体を傷めずに必要な範囲だけを切り離し、搬出できる大きさへ分割することが可能です。

堰堤の切断工事を安全かつ計画どおりに進めるには、現地調査・工法選定・仮締切を含む仮設計画・許可手続きを早い段階で固めることが欠かせません。 堰堤のスリット化や部分撤去を検討している場合は、切断・穿孔工事を専門とするカッター工事会社に相談しましょう。

【工事場面に合った工法・
特徴で選ぶ】
名古屋のカッター
工事会社3選

道路・橋梁の工事なら

東海カッター

東海カッター

引用元:東海カッター
https://www.tokai-cutter.co.jp/strong/

「短工期」が求められる現場で 交通路の工事に適した工法と体制

切断サイズ80㎝のパワフルなフラットソーイングが、広範囲のコンクリート切断や道路工事において、工期短縮に貢献。計画から施工、工事後の廃棄物処理まで自社内でスピーディに対応できる。

対応工法
  • ウォールソーイング工法
  • ワイヤーソーイング工法
  • コアードリリング工法
  • 静的破砕工法
  • カッター工法
  • 油圧式静的破壊工法
  • ハンドブレーカー工法
  • ウォータージェット工事

公式HPで対応
サービスをチェック

電話で問い合わせる

建物の解体工事なら

ダイヤエクシード

ダイヤエクシード

引用元:ダイヤエクシード
https://www.diaexceed.co.jp/

「柔軟な対応」が必要な解体工事に各種ワイヤーソーを駆使

大型・水中・乾式などのワイヤーソー技術を用いて、既設コンクリート構造物の切断・解体を行う。使用中の建物でも、利用を妨げないよう古いスラブ・壁の切断切断工事に対応。

対応工法
  • コアボーリング
  • ワイヤーソーイング
  • ウォールソーイング
  • フラットソーイング
  • 乾式目地切断工法
  • ウォータージェット工法
  • バースター破砕工法

公式HPで
対応サービスをチェック

電話で問い合わせる

工場・施設内の工事なら

ウォールカッティング工業

ウォールカッティング工業

引用元:ウォールカッティング工業
https://wallcutting.net/

「周辺への配慮」に優れた 人にも環境にも優しい機材を使用

病院や店舗など排気ガスを嫌う場所に適切な電動フラットソーイング工法が可能。石油、ガス、化学工場においてもスパレスターの装備の必要なし。

対応工法
  • ウォータージェット工法
  • ウォールソーイング工法
  • ワイヤーソーイング工法
  • コアードリリング工法
  • フラットソーイング
  • グルービング工法

公式HPで
対応サービスをチェック

電話で問い合わせる