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橋脚と橋台は、橋の上部構造(桁・床版)を支える下部構造です。老朽化した橋の架替えや河川改修・道路拡幅にともない、上部工だけでなく下部構造まで撤去するケースが増えています。
橋脚・橋台の撤去は、単に壊せばよい工事ではありません。河川内や道路上、鉄道近接といった制約の多い場所にあり、隣接する構造物や供用中の路線を傷めずに解体する必要があります。残す構造物への影響を抑えつつ、搬出できる大きさに分割して取り出すために、ワイヤーソーイングをはじめとするカッター工法が用いられます。
この記事では、工事担当者に向けて、橋脚・橋台の撤去が必要になるケース、主な工法、橋脚と橋台で異なる注意点、工事の流れ、必要な許可、費用の条件、会社選びのポイントを解説します。
橋の下部構造は複数の部位で構成され、どこまで撤去するかで工法も工期も変わります。
| 部位 | 概要 | 撤去・切断工事の主な内容 |
|---|---|---|
| 橋脚(柱部・梁部) | 橋の中間で上部工を支える柱状の構造物 | 柱の分割切断と吊出し、梁の先行撤去、河床面での切下げ |
| 橋台(胸壁・竪壁・翼壁) | 橋の両端で上部工を支え、背面の土圧を受け止める構造物 | 胸壁の撤去、竪壁の分割切断、翼壁の切離し |
| フーチング・基礎 | 荷重を地盤や杭へ伝える底版部分 | 掘削後の分割撤去、杭頭部との切離し、支障範囲のみの撤去 |
撤去範囲は「地上部だけ」「河床面まで」「フーチングを含む全撤去」に分かれ、どこまで残すかで掘削量・仮設・工期が大きく変わります。計画の初期に範囲を確定させておきましょう。
下部構造の撤去は、橋の更新だけでなく周辺の改修計画にあわせても発生します。
背景には道路橋の高齢化があります。建設後50年以上経過する道路橋の割合は2023年3月時点で約37%、2040年3月には約75%に達する見込みで、架替えにともなう下部構造の撤去は今後さらに増えていきます。
橋脚・橋台は断面が大きく鉄筋量も多いうえ、河川内・道路上・鉄道近接といった条件が重なります。ひとつの工法で完結することは少なく、次の工法を組み合わせます。
ダイヤモンドビーズを数珠状に固着したワイヤーを対象物に巻き付け、高速で走行させて切断する工法です。切断できる厚みの制限が少なく、大断面の柱部や竪壁をブロック状に分割できます。日本コンクリート切断穿孔業協会も施工対象として橋脚のワイヤーソー切断や水中での施工を挙げており、下部構造の撤去における中心的な工法です。
切断面に沿ってレールを固定し、ダイヤモンドブレードを走行させて切断する工法です。切断線を精度よく管理できるため、残す部材との境界を切り離す「縁切り」に向いています。橋台の胸壁だけを撤去する場合や、翼壁を所定の高さで切り下げる場合に用います。
円筒状のダイヤモンドビットで孔をあける工法です。ワイヤーソーを通す引込み孔の削孔に欠かせないほか、連続穿孔で厚い壁を縁切りする使い方や、吊上げ用の玉掛け孔の加工にも用いられます。水中穿孔にも対応可能です。
超高圧水でコンクリートのみをはつり取る工法です。鉄筋を傷めずに除去できるため、フーチングを一部残して新設構造物と接合する際の打ち継ぎ面づくりに用いられます。
広い作業ヤードを確保できる現場では、大型圧砕機による取壊しが選ばれることもありますが、騒音・振動・飛散が大きく、残す躯体にひび割れを生じさせるおそれがあります。供用中の路線に近い場所やフーチングを一部残す工事では、カッター工法で縁切りしたうえで併用するのが基本です。
河川内の橋脚は施工時期が非出水期に限られることが多く、仮締切・水替えや工事用道路の設置が前提になります。水位を下げられない場合は水中ワイヤーソーによる切断や潜水作業が必要です。上部工を残したまま橋脚を扱う工事では桁下高さが制約となり、使用できるクレーンの機種も限られます。
橋台は背面に盛土を抱えており、撤去にともなって土圧のバランスが崩れます。竪壁を先に切ると背面土が崩れるおそれがあるため、土留めや掘削順序を含めた仮設計画が欠かせません。橋台まわりには擁壁や埋設管、踏掛版が取り付いており、どこで縁を切るかで復旧範囲も変わります。橋台の撤去では、切断計画よりも先に掘削と土留めの計画を固めるのが基本です。
下部構造の撤去は、切断作業そのものより事前の調査・協議・仮設計画が工期を左右します。
「吊り出せる重量」と「搬出経路」から逆算して分割数を決めることが計画の出発点です。ブロックを大きくすれば切断日数は減りますが、クレーンの大型化や搬出時の規制が必要になり、総額では高くつくこともあります。
河川区域内で工作物を新築・改築・除却する場合は、河川法第26条第1項に基づく河川管理者の許可が必要です。掘削や盛土など土地の形状を変更する行為は同法第27条第1項、河川保全区域内での行為は同法第55条第1項の許可対象です。河川内の橋脚撤去や仮締切はこれらに該当します。
道路上や道路に近接して作業する場合は2種類の許可が必要です。道路交通法第77条に基づく道路使用許可は所轄の警察署長へ、道路法第32条に基づく道路占用許可は道路管理者へ申請します。跨道橋や中央分離帯の橋脚撤去では、車線規制・通行止めの計画とあわせて早期に協議しましょう。
指定地域内で特定建設作業を行う場合は、市町村長への届出が必要です。騒音規制法ではさく岩機や空気圧縮機、バックホウなどが、振動規制法では舗装版破砕機や手持式を除くブレーカーなどが対象となります。
注意したいのは、名古屋市では市の条例により「コンクリートカッターを使用する作業(1日の移動距離が50mを超える場合を除く)」や「鉄筋コンクリート造などの構造物を破壊する作業」も特定建設作業に含まれる点です。届出は作業開始の中7日前までに、現場を管轄する区の公害対策課へ提出します。
一定規模以上の工事は分別解体と再資源化が義務付けられ、発注者による届出が必要です。橋梁のような建築物以外の工作物に関する工事(土木工事等)は、請負代金500万円以上が対象です。
下部構造の撤去費用は、コンクリート量だけでは決まりません。主な要素は次のとおりです。
見積もりを比較する際は、切断費だけでなく仮設費、掘削・土留め費、揚重費、規制費、処分費、スラッジ処理費が含まれているかを確認しましょう。「一式」表記のみの場合は、数量の前提条件と、増水や地中障害物が出た場合に追加費用が発生する範囲もあわせて確認しておくと安心です。
橋脚・橋台の撤去は、切断技術に加えて仮設計画と関係機関協議の経験が求められます。次の点を確認しましょう。
問い合わせの前に、橋梁形式と下部工の図面、撤去範囲と残置部、施工可能な時期、桁下高さとクレーンの設置可否、搬出経路、後工程の予定を整理しておくと、現地調査や見積もりがスムーズに進みます。
橋脚・橋台の撤去工事は、橋の架替えや河川改修、道路拡幅にともなって発生します。ワイヤーソーイングを中心としたカッター工法なら、残す構造物や供用中の路線を傷めずに、搬出できる大きさへ分割して取り出せます。橋脚では水中作業と桁下・重機の条件が、橋台では背面土圧と掘削・土留めの計画が、工程と費用を左右します。
計画どおりに進めるには、現地調査・工法選定・仮設計画・関係機関との協議を早い段階で固めることが欠かせません。 橋梁下部工の撤去や部分切断を検討している場合は、切断・穿孔工事を専門とするカッター工事会社に相談しましょう。
引用元:東海カッター
https://www.tokai-cutter.co.jp/strong/
切断サイズ80㎝のパワフルなフラットソーイングが、広範囲のコンクリート切断や道路工事において、工期短縮に貢献。計画から施工、工事後の廃棄物処理まで自社内でスピーディに対応できる。
引用元:ダイヤエクシード
https://www.diaexceed.co.jp/
大型・水中・乾式などのワイヤーソー技術を用いて、既設コンクリート構造物の切断・解体を行う。使用中の建物でも、利用を妨げないよう古いスラブ・壁の切断切断工事に対応。
引用元:ウォールカッティング工業
https://wallcutting.net/
病院や店舗など排気ガスを嫌う場所に適切な電動フラットソーイング工法が可能。石油、ガス、化学工場においてもスパレスターの装備の必要なし。